「トラックドライバーが触ったおにぎりは買いたくない」 ドライバー自身による“棚入れ問題”が浮き彫りにしていた、現代社会の構造的病理
コンビニやスーパーでトラックドライバーが商品を陳列する光景は、かつてはよく見かけた。しかし最近では、このような棚入れの姿をあまり見なくなってきた。この背景には、ドライバーを下に見る消費者心理が見え隠れしている。
見えない棚入れの実態
消費者の目に触れる場所でドライバーが棚入れをするケースは減ってきているが、見えないところではまだ行われている。
例えば、ショッピングモールにある有名な一般雑貨チェーンでは、店舗の営業時間外にドライバーが配送を行い、その際に棚入れもさせていることがある。トラックが商品搬入口に接車してから、広大なショッピングモール内の店舗まで商品を届けるのはよくあることだ。その際に棚入れをさせないまでも、アパレルや雑貨、化粧品などの商品を内容ごとに分類して置くことを求める店舗や量販店も存在する。
さらに、ドライバーによる荷卸しは量販店やショッピングモールだけではなく、倉庫や工場、事務所などでも行われている。ドライバーは配送先にあるフォークリフトを使って荷積みや荷卸しを行うことを「自主荷役」と呼ぶが、工場や倉庫によってはドライバーが荷物の種類を確認し、指定された場所まで仕分けて荷卸しをすることもある。なかには、複数の建物にわたるケースもある。
ドライバーの棚入れや自主荷役について話し始めると、
「手荷役は非人道的だ」
といった議論に至ることがある。テーマから外れるため深くは触れないが、想像してほしい。たとえば、農作物を運ぶ大型トラックのドライバーは、誰もいない深夜の農協の倉庫で、数百個から千個以上、重さでいえば10t以上の農作物をひとりで延々と積み込むことがある。
ここまでくると、一般の人々の感覚からすると、これはもはや
・罰ゲーム
・パワハラ
のように感じられるだろう。