「高級料理 = タクシーで届ける」 プロのドライバーがもたらす安心感とプレミア感、業界はニッチなニーズ対応で危機乗り越えよ

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2023年度のタクシー事業者の倒産件数は33件に達し、前年から約1.2倍増加した。そんななか、高齢者や子育て世代のニーズに応える「墓参りタクシー」「子育てタクシー」「デリバリータクシー」が新たな活用法として注目されている。これらのサービスは地域生活の困りごとを解決する可能性を広げている。

広がるデリバリーの可能性

一般的なフードデリバリーのイメージ(画像:写真AC)
一般的なフードデリバリーのイメージ(画像:写真AC)

 三つ目はデリバリータクシーだ。

●デリバリータクシー
 飲食物のデリバリーといえば、自転車やバイクが思い浮かぶ。しかし、最近ではタクシーがフードデリバリーを行う例も増えている。これまでタクシーの参入は禁じられていたが、コロナ禍でデリバリーニーズが高まり、国土交通省は2020年の4月から9月末までの期間限定で、タクシー事業者が有償で飲食店の食料や飲料を運ぶことを許可した。これは

・消費者
・フード事業者
・タクシー事業者

のそれぞれに大きなメリットがあり、現在もタクシー事業者はフードデリバリーに参入できるようになっている。コロナ禍はタクシー業界にとって、思わぬプラスの効果をもたらしたといえる。

 タクシーを利用することで、バイクや自転車よりも「広範囲に大量配送」が可能となった。プロのドライバーによる配達サービスであるため、

・安心感
・高級感

もあり、フード事業者のブランディングにも貢献している。高級ホテルやレストラン、料亭がタクシーデリバリーを利用しているのも注目すべき点だ。

「高価な料理はタクシーで届ける」

という新たなブランドが形成されつつあり、ユニークである。バイクや自転車では、フードが傾いて汚い状態で届くという苦情も少なくないが、タクシーではそのリスクも軽減される。

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