米国での人気急上昇と高騰するチケット価格【連載】開かれたF1社会とその敵(4)
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F1は「ムラ」としての閉鎖性を克服し、予算上限を導入したことで競争が激化している。2024年のバーレーンGPでは、約1秒の接戦が実現した。また、カーボン・ゼロ目標に向けてパワーユニットの電動化が進んでいる。一方で、米国での人気が急上昇しており、チケット価格も高騰している。F1が一般層に開かれたイベントであり続けるためには、価格と価値のバランスが重要だ。
南アフリカのF1再開可能性

また、リバティ・メディアはアフリカでのレース復活も視野に入れている。アフリカでF1が開催されていないのは、“喉にささった小骨”そのものだった。いくつかの国が開催を希望しているが、過去にF1やサッカー、ラグビーワールドカップを開催した実績のある
「南アフリカ」
が有力候補だ。しかし、南アフリカはロシアとの政治的な関係があり、そのためF1開催は見送られている。スポーツと政治は切り離されるべきといわれるが、実際には深く結びついており、ウクライナ戦争が終わらない限り南アフリカでの開催は難しいかもしれない。
さらに、真の「世界選手権」を名乗るためには、
「インドGP」
の復活も重要だ。インドは人口で中国を抜き、民主国家でもあるため、F1開催には大きな意義がある。MotoGPは2023年に初めてインドで開催されたが、2024年は中止され、2025年から2027年までの開催契約を結んでいる。リバティ・メディアはMotoGPを買収することに合意しており、MotoGPのインドGPの成功次第では、F1開催への道も開けてくるだろう。
日本では大阪観光局がF1誘致に乗り出しており、2024年7月に
「大阪モータースポーツ推進協議会」
が設立されると発表した。かつて日本でF1が2レース開催されたこともあったが、現在の日本経済力では再び盛り上がるかどうかは疑問視されている。特に、世界的に評価の高い鈴鹿サーキットとの兼ね合いもあり、解決すべき課題は多い。