米国での人気急上昇と高騰するチケット価格【連載】開かれたF1社会とその敵(4)

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F1は「ムラ」としての閉鎖性を克服し、予算上限を導入したことで競争が激化している。2024年のバーレーンGPでは、約1秒の接戦が実現した。また、カーボン・ゼロ目標に向けてパワーユニットの電動化が進んでいる。一方で、米国での人気が急上昇しており、チケット価格も高騰している。F1が一般層に開かれたイベントであり続けるためには、価格と価値のバランスが重要だ。

米国で高まるF1人気

ネットフリックス「栄光のグランプリ」(画像:ネットフリックス)
ネットフリックス「栄光のグランプリ」(画像:ネットフリックス)

 F1は「世界選手権」を名乗っているが、米国では長年、インディカーやNASCARといった独自のモータースポーツ文化が根付いてきた。そのため、米国GPが開催されても、F1はあまり受け入れられてこなかった。

 そんな状況を憂慮した米国企業のリバティ・メディアは、F1人気を高めるために一計を案じ、ネットフリックスでドキュメンタリー「Survive to Drive(邦題・栄光のグランプリ)」を制作した。これが大ヒットし、米国でF1ブームが到来。2024年には米国国内で三つのF1レースが開催されることになった。

「1国1レース」

という原則が事実上崩れているとはいえ、米国で3レースも開催されるのは、その人気の高さと米国市場の大きさを示している。これにより、F1が「世界選手権」として名乗りやすくなった。

 リバティ・メディアはさらに手を緩めず、次にブラッド・ピット主演の「F1」映画の製作に着手し、2025年6月に公開が決まった。今度はハリウッドの力を借りて、世界中でファンを増やそうと狙っている。これはリバティ・メディアが米国企業だからこそ実現できたことだ。

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