再考!「夜行バス」の魅力の本質とは? 手軽で経済的なこの交通手段が愛され続ける根本理由
夜行バスの安全性問題

一方で、夜行バスには安全性に関する懸念がある。長時間の乗車による体への負担や運転手不足が影響し、運転手の疲労による事故のリスクが指摘されている。
国土交通省が発表した「令和4年度 自動車運送事業用自動車事故統計年報」によると、夜行バスを含む乗合バスの重大事故件数は、2021年度の2045件から令和4年度には2245件(9.8%増)に増加している。そのなかで、乗務員に起因する事故は309件で、全体の約14%を占めている。
これらのリスクを軽減するため、各バス会社は運転手の休憩時間の確保や複数の運転手による交代制の導入など、安全対策を強化している。高速バスを安心して利用するためには、ドライバーのケアが重要だ。
また、高速バスでは長時間同じ姿勢で座ることによるエコノミークラス症候群などの健康リスクもあるため、適度な休憩やストレッチを行うことが推奨されている。
さらに、夜行バスの運行ルートや道路状況も安全性に影響を与える。特に冬季には、雪や凍結による滑りやすい道路が問題となることがある。このため、バス会社は冬用タイヤの装着や悪天候時の運行中止などの対策を講じているが、利用者自身も天候や道路状況を確認し、必要に応じて運行情報をチェックすることが大切だ。
夜行バスの車内環境も安全性に影響を与える。車内の温度や湿度が適切でない場合、体調を崩すリスクがある。各バス会社は快適な環境を提供するために、エアコンや加湿器の設置を行っているが、利用者自身も適切な服装や飲み物を用意することが推奨される。
利用者同士のトラブルも安全性に影響を与えることがある。騒音やマナー違反が原因でトラブルが発生することがあるため、バス会社は車内ルールの徹底やトラブル時の対応策を講じているが、利用者も他の利用者への配慮を忘れずに行動することが求められる。
各バス会社の努力によって、快適かつ安全な移動を実現する夜行バス。今後も進化を続け、「寝台列車」のような付加価値を生み出し、
「新幹線や飛行機より値段が高くても利用したい」
と思う人が増えるかもしれない。
皆さんにとっての「夜行バス」の魅力の本質とは何か。手軽で経済的なこの交通手段が愛され続ける根本理由を教えてほしい。