交通事故死者数“40%減”の裏側に潜む「重度後遺障害者」の孤独 介護者不在の未来が意味するものとは?
国土交通省は、交通事故被害者が介護者なしでも安心して生活できるよう、障害福祉系の訪問介護サービスの人材確保を支援する補助事業を公募している。訪問介護は平均年齢が54.7歳で、求人倍率は15倍という深刻な人手不足が続いている。一方で、重度後遺障害者の数は年間1100人前後で減少していないため、交通事故の影響を受けたケア体制の強化が急務である。
医療的ケアと人手不足
国土交通省は2024年5月31日、自動車事故の被害者が介護者がいなくなった後も安心して生活できる環境を整えるため、補助事業の公募を開始した。この事業は、障害福祉系の訪問介護サービスの人材確保を支援する内容になっている。
今回、筆者(伊波幸人、乗り物ライター)が調べてみると、医療的ケアが必要な自動車事故の被害者が、人手不足でサービスを受けられないという問題が浮かび上がってきた。
なぜこの補助事業が障害福祉系の訪問介護サービスに限定されているのか。また、なぜ自動車事故の被害者支援が拡充されたのか。
リハビリテーション医療に関わる筆者は、交通事故で重度のけがを負った人たちの社会復帰や社会参加を支援する立場にある。自身の経験も踏まえ、この問題を掘り下げる。