北陸新幹線「米原ルート」 所要時間を計算したら「小浜ルート」よりも速かった!
北陸新幹線の新大阪延伸には25年と3.9兆円が必要で、米原ルートとのコスト差を考えると、国益を考えた選択肢に疑問を抱く意見がある。運行管理システムや車両面の課題を克服すれば、米原ルートの方が所要時間や費用面でメリットが大きいとされる。
米原ルート否定論は「進歩の否定」
米原ルートのダイヤ試算にあたって、米原ルート否定論への反論といくつかの前提条件を示したい。米原ルート否定論の多くは設備面に関する問題が指摘されている。以前の記事への反響として、Xでいくつかの否定論を目にしたが、主に次の5点が挙げられていた。
1.運行管理システムが分岐・合流に対応していないシステムである(これは国交省もいっていた)
2.車両の規格が合わない
3.東海道新幹線は16両しか受け入れない
4.線路容量の観点で無理
5.JR西日本は収益が減って嫌がるはずだ
というものであるが、特に「1」と「2」については「進歩の否定のオンパレード」といわざるを得ない。
前回の記事では運行管理システムについて
「どの道、佐賀県の西九州新幹線や岡山から四国新幹線や伯備新幹線を分岐させるときに問題になるほか、国交省自ら新大阪駅の山陽新幹線地下ホーム増設の際に北陸新幹線との直通も検討するとしているのだから、今解決しないなら問題の先送りをしているだけだ」
と述べたがそれだけではない。新幹線システムの海外輸出の観点でもいいことではないはずだ。
欧州などの海外勢では新幹線と在来線の直通や分岐・合流、デルタ線などが複雑に絡む運行管理をしている。ということは当然、それに合わせたシステムが普通であり、JR東海のように実質、
「単一の路線にしか合わない運行管理システム」
が、欧州のそれに勝てる訳がない。だから日本は新幹線発祥の国なのに、新幹線輸出で海外勢に負けていることの方が多いのではないか。
ならば、この米原ルート整備は海外にも受け入れられる新幹線システム開発のチャンスと捉えるべきではないか。このシステム改修に国は本腰を入れてJR東海を全面的に支援していくべきだ。