自動車エンジンの点火プラグ大手が、突然「エビ養殖」を始めちゃったワケ

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日本特殊陶業は、ガソリンエンジン部品製造で培ったセンサー技術を活かし、エビの陸上養殖に進出。電動化が進む自動車業界の変化に対応し、事業の多角化を図る挑戦が注目される。

電動化時代の多角化戦略

車のスパークプラグを交換する整備士(画像:写真AC)
車のスパークプラグを交換する整備士(画像:写真AC)

 日本特殊陶業がエビの陸上養殖に乗り出した理由は、自動車業界全体が電動化の波にさらされているからだ。

 CO2排出量の増加が地球環境を悪化させており、自動車はその大きな原因のひとつとされている。このため、世界中で電気自動車(EV)の普及が進んでいる。数年前から、米国、欧州、中国などで急速にEVのシェアが増加しており、2035年にはそのシェアが半数に達するとの予測もある。これにともない、内燃機関を搭載した自動車はシェアを落とし、ガソリンエンジン自体が確実に減少していく。

 このような時代において、ガソリンエンジンの部品を主力製品とする日本特殊陶業は将来的に厳しい状況に直面することは明らかだ。そこで、同社が始めた事業がエビの陸上養殖であり、他業種でも見られる経営の多角化を図ったものといえる。

 経営の多角化には成功例と失敗例があるが、本業の技術を活かした成功例として富士フイルムの化粧品や医薬品分野への進出が挙げられる。富士フイルム(東京都港区)はフィルムカメラの需要低下を予見し、早くから多角化経営を進めてきた。フィルムの開発で培ったナノ技術は、バイオ医薬品の生産にも活用されている。富士フイルムのバイオ医薬品生産は世界的に多くの受託生産を受けるほど発展し、同社の主力事業となった。

 日本特殊陶業のエビの陸上養殖がどの程度の規模になるかはまだ不明だが、本業の技術を活かした新事業という点では、富士フイルムと類似している。

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