車内にあふれる「卒業おめでとう!」 経営正念場のバス会社が“奇抜”なPRに踏み切ったワケ

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岡山県内などでバス運行する両備グループが「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」と題したプロモーションを展開している。果たしてその中身は、そして狙いとは?

クルマ中心の地方でバスが選ばれるには

企画を担当する平本さん(左)と脇本さん(画像:両備ホールディングス)
企画を担当する平本さん(左)と脇本さん(画像:両備ホールディングス)

 同社によると、岡山市におけるバスの公共交通分担率は2%と著しく低い。

 市民の多くが移動手段に利用するのは自家用車だ。コロナ過でのさらなる利用離れが、路線廃止の現実化へ拍車を掛けている。その一方で、バスという公共性の高い事業ゆえに、こうした危機的状況が伝わっていない現状もあるという。

 人口の多い市街地では今後も利用促進施策を実施していく一方、人口減少が進む地域では、沿線の行政と協議を重ねて適切な運営方法を模索していく必要があるとしている。

「バス事業は人々の移動を支えるのがサービスの本質。移動だけならマイカーの使い勝手の良さには太刀打ちできません。しかし、バスであれば移動中の時間を自由に使える。その時間に対していかに付加価値を付けられるか、そうした視点から4月以降もプロジェクト企画を発表していく予定です」(平本さん)

 3月を走るバス車内の寄せ書きには、教員らだけでなく同社社員たちが書いたメッセージもある。その中には、こんな言葉もあった。

「晴れた日も、雨の日も(中略)3年間、通学にバスを使ってくれてありがとう。(中略)卒業した後もこの岡山の地のバスの中でお会いできることを楽しみにしています」

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