車内にあふれる「卒業おめでとう!」 経営正念場のバス会社が“奇抜”なPRに踏み切ったワケ

キーワード :
, , , ,
岡山県内などでバス運行する両備グループが「宇宙一面白い公共交通を目指すプロジェクト」と題したプロモーションを展開している。果たしてその中身は、そして狙いとは?

コロナ禍で乗客減少、再起を懸けた挑戦

「宇宙一贈る言葉にあふれたバス」車内(画像:両備ホールディングス)
「宇宙一贈る言葉にあふれたバス」車内(画像:両備ホールディングス)

「地方の公共交通は今まさに正念場を迎えています。人口減少や少子化によって毎年2~3%ずつ乗客が減っていたところに、新型コロナ禍が重なり20%ほど減少しました。10年分くらいの乗客を一気に失った計算です」

「これまでのやり方では存続が難しい。どうすればバスに乗りたいと思ってもらえるか? そういう思いで始めたのが今回の『宇宙一面白い』プロジェクトです」

 両備ホールディングス・バスユニット統括カンパニー乗合バス統括部の平本清志さんは、立ち上げの経緯についてそう話す。立ち上げた特設サイトには、バス事業者らしからぬ奇抜なイラストや文言が並ぶ。

 日本一でも世界一でもなく宇宙一を掲げたのは、ほかに比べるものがないくらいの企画を、との意気込みからだ。今までの利用促進PRとは似つかない、大胆な選択だった。

“赤字続きの公共交通事業の再起を懸けた挑戦”とうたいプロジェクトを発表したのが2022年1月12日(水)。第1弾として同月13日(木)から25日(火)まで毎日1往復(1車両)、車内にプロジェクターで星空を映し出す「プラネタリウムバス」を走らせた。

 土日などの利用者が少ない路線(岡山駅 ― 西大寺)をあえて選んだ。親子連れやグループでの乗車が増え、前年同期比139.8%と伸長した。プラネタリウムバスに乗るため、県外から訪れた利用者もいたという。

全てのコメントを見る