東海道新幹線の圧倒的な収益力と成長戦略【短期連載】リニアはさておき(2)
JR東海は、東海道新幹線で収益の88%を稼ぎ出す一方、在来線は減少傾向に。1992年の300系導入から速度向上を進め、リニア中央新幹線の建設も進行中。
競争力を磨き続けてきた新幹線

JR東海は、新幹線の
・旅客運輸収入の増加
・対航空機戦略
として、商品としての東海道新幹線に磨きをかけてきた。東海道新幹線の目玉ともいえる施策を挙げてみよう。
・1992(平成4)年3月:300系車両(270km/h)でのぞみ営業運転開始
・2003年10月:品川駅開業および全列車270km/h化とのぞみ最大7本運転
・2014年3月:N700Aの投入・新大阪駅構内改良とのぞみ10本ダイヤの実施
・2015年3月:最高速度285km/hへ速度向上
・2020年3月:全列車285km/h化とのぞみ12本ダイヤの実施
JR発足当初は、新幹線の最大時速は220km/h、いわゆる6-4ダイヤ(ひかり6本、こだま4本)で、片道あたり1本しか増発余力がなかった。列車本数を増やすために、列車の速度を向上させ、地上設備の改良を着実に行ってきたのがJR東海の歴史といっていい。
こうして振り返ってみると、速度を50km/hも引き上げた1992年3月の300系のぞみの誕生が転換点のひとつといえる。
そして、車両および地上設備の改良を続けて、2003年10月の品川駅開業および全列車270km/h化へと花開いた。もちろん、速度向上により、東京~大阪間の移動時間は、JR発足当初の約3時間からのぞみ登場で最短2時間30分となり、285km/h化によりさらに最短2時間21分まで短縮された。
・高速化
・高頻度運転
を組み合わせて、東京~大阪間のシェアを確実なものとしていったのは“偉業”といってよいかもしれない。