乗降客数3駅「わずか10万人」という現実! 大阪城東部で大規模再開発浮上も、キタ・ミナミに続く“第3の拠点”なんて本当になれるのか?
53ha再開発着手
大阪市の城東、中央、東成3区にまたがる大阪城東部地区で大規模な再開発が動き始めた。大阪府市は大阪城東部地区を「キタ」「ミナミ」に次ぐ“第3の拠点”にしたい考えだ。
大阪城の東側、大阪市中央区のJR森ノ宮駅から城東区に入り、都市計画道路豊里矢田線を通って北へ向かう。10分ほど歩くと13階建て、延べ約7万7000平方メートルのビル建築現場が姿を現した。大阪公立大の森之宮キャンパスだ。真夏の日差しが照りつけるなか、2025年秋の開設に向けて作業員が忙しそうに動き回る。
森之宮キャンパスは大阪都心部に置く主力キャンパスと位置づけられ、文学部と医学部リハビリテーション学科、生活科学部食栄養学科などが移転し、学生と職員合わせて約6000人が利用する。大阪公立大は工事の進捗(しんちょく)状況について
「順調に進んでいる」
と説明した。
周辺では、これに合わせて大規模な再開発が予定されている。森之宮キャンパスを1期工事に見立て、大阪府市や大阪メトロなどが進める大阪城東部地区1.5期開発だ。
・JR大阪城公園駅
・都市再生機構森之宮団地
・大阪府立成人病センター跡地
などを含む約53haが対象。街開きは2028年春を目指している。
森之宮検車場に大阪メトロの新駅
大阪メトロは再開発区域に隣接する森ノ宮駅から北側の森之宮検車場へ中央線の支線を設け、新駅を設置する。
支線の延長は1.1km。軌道法に基づく特許は6月末、国土交通省から得た。新駅に隣接する市有地は駅前広場として新駅と一体開発するため、大阪メトロに払い下げられる方向。JR大阪城公園駅と新駅はデッキで接続する。
新駅には空飛ぶクルマの発着場を併設するほか、新しいモビリティの導入も将来構想に加える。新駅の南側には収容人数1万人以上のアリーナを整備する予定。大阪公立大は大学院情報学研究科やシンクタンク機能を入れるもうひとつのキャンパスを建設する。
大阪商工会議所は区域内に複数の団地を持つ都市再生機構と連携し、自動運転やドローン活用などの実証実験を進める。実施候補となる14事業は6月末に決まった。地区内に大学があることから、最新技術をまちづくりに取り入れようとしているわけで、大阪商工会議所産業部は
「2024年度中に実施の具体化を図る」
としている。