EVと気候変動対策の岐路! 米大統領選がもたらす激変の予兆とは

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11月の米大統領選挙は気候変動対策に大きな影響を与える。トランプ前大統領が再当選すれば、パリ協定から再脱退の可能性が高い。バイデン大統領の気候対策を覆す「トリプルレッド」が実現すると、気候政策に大きなブレーキがかかる恐れがある。

共和党の気候対策阻害の恐れ

上野貴弘『グリーン戦争』(画像:中央公論新社)
上野貴弘『グリーン戦争』(画像:中央公論新社)

 ただし、2017年に成立したトランプ減税のうち、所得減税と基礎控除の拡大が2025年に期限切れになる予定であり、トランプ減税継続のためにIRAの一部が撤回される可能性も本書では指摘されている。その場合、EVへの大きな優遇措置などは終わるかもしれない。

 気候変動対策は米国では完全にイデオロギーの対立軸となっており、共和党が大統領選だけではなく、上院、下院の多数を獲得する「トリプルレッド」になれば米国の気候変動対策に大きなブレーキが掛かる可能性もある。例えば、

・環境(Environment)
・社会(Social)
・ガバナンス(Governance)

に配慮する企業に投資しようとする「ESG投資」の動きがあるが、共和党の主導するフロリダ州では包括的な反ESGの州法が成立し、テキサス州ではESGを推進する金融機関との取引を制限する州法がつくられている。パリ協定の脱退についても前回は脱退の表明から実際の脱退まで3年かかったが、次は脱退の表明から1年で脱退できることになる。

 来月に迫った大統領選挙、そして同時に行われる上下両院の選挙は、今後の米国と世界の気候変動対策にとって大きな意味を持つものになると思われる。この選挙が気候変動対策にどのような影響を与えるのか。本書はそれを考える材料を与えてくれる本である。

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