経済効果は810億円! 宇都宮LRT「西側延伸」が引き起こす“都市再生”の大シナリオ、「JRと東武が近くなる」なんて序章に過ぎない
宇都宮市は「芳賀・宇都宮LRT」の西側延伸計画を進行中。2030年代前半に約5kmが開業予定で、400億円の投資が見込まれる。成功すれば、宇都宮市は持続可能な都市モデルの先駆けとなる。
LRT中心に進化する街

筆者(山本肇、乗り物ライター)は、この取り組みによって次のようなメリットが期待できると考えている。
●運行効率の向上
重複路線の解消や運行頻度の最適化により、限られた経営資源を効率的に活用できる。
●利用者の利便性向上
LRTとバスの連携強化により、より広域で利便性の高い公共交通サービスを提供できる。
●交通弱者ニーズへの対応
きめ細かな公共交通網の構築により、高齢者や障がい者など自家用車の利用が困難な人々の移動手段となる。
●環境負荷の低減
効率的な公共交通網の構築は、マイカー離れを促進し、CO2排出量の削減につながる。
さらに、公共交通ネットワークの再編は、交通サービスだけでなく、都市構造や人々のライフスタイルにも大きな影響を与える。例えば、交通結節点を中心とした新たな商業集積である。車社会から公共交通システムへのシフトは、民間開発プロジェクトの方向性も変えるだろう。つまり、宇都宮の都市魅力向上は、
「JRと東武線が近くなった」
「公共交通が便利になった」
だけでは終わらない。LRTを中心に中心市街地から街が広がり、LRTの停留所付近にはバスが乗り入れ、商業集積(おそらく役所や病院も)が進むだろう。交通アクセスが便利で、徒歩や公共交通を利用すれば買い物もしやすい。また、遠くまで行かなくても、近隣に商業地が集中している街も想像できる。