宇都宮ライトレール「乗客400万人」達成も課題山積! 利用者増を今後キープするためには何が必要なのか?

キーワード :
, ,
宇都宮ライトレールが開業1年で累計乗客数400万人を達成。LRTはバリアフリーで、多様な人々の社会参加を促進。貸し切りイベントなどの活用で街の活性化が期待される。

イベント列車の可能性

路面電車(画像:写真AC)
路面電車(画像:写真AC)

 路面電車を持続可能なものにするためには、まず利用者に親しみを持ってもらわなければならない。路面電車のチャーター運行は、まさにその可能性を秘めている。なかでも注目されるのは、地域で

・イベントを開催する場所を探している人
・交流したり、何かを教えたりする場所を探している人

が、意外に多いことである。こうした人たちに路面電車を活用してもらい、街そのものを盛り上げていくことが重要だ。

 実例は多い。外国の話だが、イタリアのローマではこれまで「トラムジャズ」というイベントが開催されてきた。日常業務で使われなくなった古いトラムを

「移動式レストラン」

に改造し、ジャズの生演奏を聴きながら夜のローマ市内観光が楽しめるというものだ。食事やワインも用意され、ロマンチックな時間を過ごすことができる。ローマ市民の多くにも利用されており、観光客だけでなく、市内に住む人たちにも喜ばれている。まさにトラムがローマの街の魅力を高めているのだ。

 日本では、広島電鉄の路面電車でジャズのライブが行われた例や、都電荒川線で、パリの下町のノスタルジックな音楽を聴きながら沿線を楽しむイベントが行われた例もある。演奏者は魅力的な都電を楽しみ、聴き手はいつもと一味違った都電を楽しめるというわけだ。演奏者と聴き手のコラボレーションが実現し、双方が満足すれば、路面電車は街を盛り上げる魅力的な場所という認識が地域全体に広がるだろう。

 この発想は音楽だけでなく、絵画や書道などアート全般にも広げられる。地元の料理を作って味わう場にするのもいい。また、

・走る英会話教室
・走る寺子屋
・走るスマホ教室

などでもいい。大切なのは、路面電車のなかで、サービスを提供する側とサービスを受ける側の双方が楽しめる環境を作り、街を盛り上げることだ。そんな環境ができれば、路面電車は地域に愛される空間になるはずだ。

全てのコメントを見る