香川「ことでん」再生への第一歩! 「地域の交通インフラ支える」 人口減の沿線自治体が見せた譲れない“覚悟”とは
運賃収入だけで保守対策は困難
ことでんは2024年3月期決算で最終的な利益が3億9600万円となり、
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「4年ぶりの黒字」
に転じた。運賃値上げやコロナ禍からの利用客回復が売り上げ増を後押ししたが、老朽化した車両や設備の更新を運賃収入だけでまかなう余裕はない。長年、資金不足で更新を最小限にとどめてきたつけが回っている格好だ。
保有車両は約80両あるが、すべて大手私鉄の中古。車齢は9割が50年を超す。車両更新は喫緊の課題だが、中古車両の価格はこの十数年で
「約4倍」
に高騰している。そこで再構築実施計画で新型車両を導入することにした。
踏切施設の更新も急がなければならない。2015年から2023年8月までの間に踏切の遮断機が下りずに列車が接近、通過するトラブルが、高松市円座町の円座踏切などで計17件発生し、国交省から改善指示を受けた。メーカーの耐用年数を超えて機器を使用してきたことが背景にある。
香川県の緊急支援を受け、保安設備更新対象680か所の85%を3月までに更新したが、警報機も遮断機もない第4種踏切が30か所以上残っている。ことでんは
「再構築実施計画で機器はかなり改良されるが、継続支援なしで対策の進展は難しい」
と苦しい胸の内を打ち明けた。
高松市の人口は約41万人。四国では愛媛県松山市に次ぐ2位だが、既に減少に転じている。香川県も同様で、歳入の先細りは避けられない。しかも、高齢化の進行で持ち出しは増える一方。
将来も支援を続けられるかどうかについては不安が残る。だが、自治体が支援しなければ、ことでんはジリ貧を抜け出せない。やがて安全運行に支障が出ることも考えられる。
香川県はことでんに対し、2002(平成14)年度から2022年度までの21年間に30億円以上の補助金を交付したほか、2023年度も約1億8000万円を支援している。香川県交通政策課は
「負担は軽くないが、地域の交通インフラを行政として支えるつもりだ」
と説明した。