EV覇権の地政学! 背後にチラつく中国の巧みな「欧米分断戦略」とは
バイデン政権が中国製EVに対する関税を100%に引き上げるなか、EUも最大37.6%の関税を適用。中国は強く反発し、貿易摩擦の激化が懸念されるが、中国は米欧の分断を狙い、自制的な対応を取る可能性が高い。今後、EV覇権をめぐる地政学的な緊張が続く見通しだ。
EV覇権と米中欧の戦略
中国としては以上のような立ち位置にあると考えられるが、2025年以降の米国の対中姿勢に変化はないものの、秋の米大統領選挙の行方は米国と欧州との関係を大きく変える可能性がある。
バイデン政権の継続であれば変化はない一方、トランプ政権になれば再び欧州との関係が冷え込む可能性が高く、トランプ政権は単独で対中強硬姿勢に撤するだろうが、中国が好むように米国と欧州との間には距離が生じるようになる。
そうなれば、中国は欧州との経済や貿易を中心とした関係の強化をいっそう狙い、対中国としてのEU諸国の連携はいっそう脆弱化していくシナリオもあり得よう。
EVをめぐっては欧米VS中国のような構図で語られることがあるが、米国と中国、欧州と中国では別問題と考えるべきだろう。