トランプ再選がもたらす「自動車関連企業」への影響! 押さえておくべき“2つのポイント”とは

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11月の米大統領選に向け、トランプ氏が銃撃事件で支持を集めるなか、日本企業は彼の再選シナリオを見据える必要がある。米中貿易摩擦は継続し、対中関税は60%に引き上げられる可能性が高い。欧州との関係も再び冷え込み、対中国での単独規制が予想されるため、日本の安全保障や経済に影響を与える可能性がある。

日本企業への影響

中国製EVのイメージ(画像:上海汽車集団)
中国製EVのイメージ(画像:上海汽車集団)

 こういった状況下では、日本企業はトランプ再選のシナリオを今のうちから想定しておく必要があろう。では、トランプ再選となればどういった状況が生じることが考えられるのか。ここではふたつ紹介したい。

 ひとつは、米中間の貿易摩擦であるが、これは間違いなく

「4年間」

は続くことになる。バイデン政権は最近も中国製の電気自動車や太陽電池、鉄鋼やアルミニウム、非先端半導体など180億ドル相当の中国製品に対する関税を引き上げると発表した。

 トランプ氏は政権1期目の際、米国の対中貿易赤字を是正する目的で、2018年から4回にわたって3700億ドル相当の中国製品に最大25%の関税を課す措置を発動しており、この先制的ともいえるような貿易規制措置は再び実行される可能性が極めて高い。

 実際、トランプ氏は大統領に返り咲けば中国製品に対する関税を一律60%引き上げると主張している。対中姿勢において、トランプ氏とバイデン大統領では大きな違いはないのである。

先端技術競争と日本への圧力

中国製EVのイメージ(画像:ジェンティン・チェン)
中国製EVのイメージ(画像:ジェンティン・チェン)

 また、保護主義的な姿勢に撤するトランプ氏ではあるが、安倍トランプ時代の良好な日米関係もあり、第2次トランプ政権と日本との関係が冷え込む可能性は低いのではないだろうか。

 無論、そのときの日本の首相がトランプ氏とうまく付き合えるかという相性も影響しようが、安全保障や経済、先端技術など多元化する米中対立において、日本との関係が重要であることはトランプ氏も認識しており、経済や貿易面で日本に厳しい姿勢で臨んでくる可能性は低いだろう。

 しかし、バイデン政権下で激化している先端半導体をめぐる米中覇権競争においては、バイデン政権が2023年1月に日本に対中輸出規制で足並みをそろえるよう要請したように、トランプ氏が安全保障上の理由で日本に再び同調するよう圧力を示してくることは十分に考えられよう。

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