補助金という“麻薬”に頼らない経営戦略を目指せ【短期連載】希望という名の路線バス(3)
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バス事業者の96%が赤字経営だが、岡山の宇野バスや東京の銀河鉄道は補助金に頼らず自立経営を実践し成功している。自助努力と独立自尊の精神で生まれるユニークなアイデアが、経営改善と地域貢献につながっている。
関東にもあった同様のバス事業者

関東地方にも、東京都東村山市、小平市、国分寺市、小金井市で路線バスを運行している銀河鉄道(東京都東村山市)というバス事業者がある。
大手バス会社が撤退した地域を中心に地域密着型の路線バスを運行するほか、貸し切りバス事業の収益で不採算路線を維持し、過疎地域の解消に努めている。コロナ禍の際には、都心への鉄道の混雑を避けるため、
「無料の直通通勤バス」
を運行したことでも話題になった。
銀河鉄道は、乗客が時刻表を覚える必要がないよう、1時間ごとに同じ時刻に発車するパターンダイヤを採用している。また、
・全線均一運賃(180円)
・前乗りでの乗客とのコミュニケーション重視
・運転免許証返納者への「お達者定期」(65歳以上)発行
など、ユニークな施策も推進している。
同社も、補助金を受けずに路線バスの運賃や貸し切りバスの収入で経営を維持しようと懸命だ。同社の経営が厳しいという記事を目にすることもあるが、社長がバス好きで、バスに精通した立場から会社を立ち上げ、サービスを設計していることが常に注目されている。
補助金に頼らず自助努力すれば、他社にない発想ができることも教えてくれる。自らを追い込むことも事業者には欠かせないのだ。