異例の大反響! BSフジ・鉄道ドキュメンタリー『今こそ鉄路を活かせ』の監修者が公共交通を改めて問う
筆者は番組全体の事実関係をチェック
筆者はこの番組に番組監修という形で携わったが、主な役割は事実関係に誤りがないか番組全般を監修することで、一部のロケやナレーションのスタジオ収録にも立ち会わせてもらった。特に、北海道のローカル線問題については、筆者がこれまで「東洋経済オンライン鉄道最前線」で執筆をしていた内容も番組に反映された。
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北海道では、北海道新幹線の札幌延伸開業にともない、函館本線の函館~長万部~小樽間がJR北海道から経営分離されることが確定しているが、このうちの長万部~小樽間については2022年3月、北海道庁が主導する並行在来線対策協議会において
「強引に廃止」
の方針を決定。このうち余市~小樽間については日常利用者も多く、かつNHK朝ドラのロケ地ともなったニッカウヰスキー余市蒸留所への観光アクセス路線であることからこの決定後、各所から異論の声が噴出する事態となった。そもそも、この区間の輸送密度が2000人を超えており
「本来であれば鉄道廃止の対象とはなり得ない路線」
であるが、北海道庁が強引に押し切った。
しかし、深刻化するバスドライバー不足の問題から、地元のバス会社が鉄道代替バスの引き受けができないという事態が発覚。特に余市~小樽間については、通勤通学の時間帯だけで新たに十数台のバスと運転手の確保が必要となることから、番組ではこれが可能なのか北海道中央バスに取材を行ったところ
「無理だ」
と回答している。番組では、並行在来線対策協議会を主導した北海道交通政策局並行在来線担当課長の小林達也氏にもインタビューを実施。小林課長はインタビューのなかで、北海道庁が
「函館本線の長万部~小樽間のバス転換に向けての相談を、北海道中央バスを始めとしたバス会社に相談を始めようとしたのは、廃止を決めて1年以上がたった2023年5月だった」
と答え、さらに鉄道の維持は「財政上の負担である」として道の政策姿勢を浮き彫りにした。