フォルクスワーゲンが「リヴィアン」に8000億円投資! しかしVWの「盲点」となりうる“あのブランド”の正体

キーワード :
, , ,
米EVメーカーのリヴィアンは経営難のなか、VWから最大50億ドルの出資を受ける。VWとの提携で経費削減と技術強化を図る一方、競合するスカウトブランドとの共存が焦点に。同社の過去から現在、今後の戦略まで徹底解剖する。

VWの盲点

リヴィアンのウェブサイト(画像:リヴィアン)
リヴィアンのウェブサイト(画像:リヴィアン)

 一見すると、両社にとっていいことずくめの提携だが、VWにとって“盲点”ともいえる点がある。それは、VWが推進している

「スカウトブランド」

の存在だ。スカウトは、1960年代から1970年代にかけてオフロード車の代名詞となったブランドで、現在はVW傘下にある。VWが長年苦戦してきた北米オフロード市場でのヒットが期待されており、2026年末からサウスキャロライナ州で生産を開始する予定だ。生産能力は年間20万台となる計画だが、昨今のEV減速を受けて、アウディのEV生産も検討されている。

 また、リヴィアンは2024年3月、ジョージア州の新工場建設計画を一時停止すると発表した。新工場の建設には数十億ドルの投資が必要なため、VWのサウスキャロライナ新工場での生産に切り替えた可能性がある。

 VWは、スカウトブランドのEV開発をマグナシュタイヤーへ委託しており、発注額は800億円近くとされている。多額の開発費を投入しているスカウトがリヴィアンとバッティングすると想定されるが、VWがなぜリヴィアンとの資本提携に踏み切ったのか、興味深いところだ。

 これまでのVWによるEV施策に関連の提携先は、

・フォードとのEVプラットホーム共同開発
・中国の小鵬汽車(シャオペン)に5%出資、BセグメントEV2車種を共同開発
・提携関係にある上海汽車とプラグインハイブリッド車3車種とEV2車種を共同開発
・スカウトブランドによる北米オフロード車市場への侵攻

などだ。今回の提携で新たにリヴィアンというカードが加わったが、果たして両社の提携は奏功するか。まずは、どのようなスキームで合弁会社が立ち上げられるのか、今後を注視していきたい。

全てのコメントを見る