災害時の移動手段で、「自転車」が注目される実にもっともな理由【リレー連載】やるぜ、能登復興。(7)
イベントとしても活躍する自転車

自転車は、災害時における移動手段として効果を発揮するだけでなく、復興支援や震災の記憶を引き継ぐイベントとしても活躍している。
東日本大震災では、復興支援と震災の記憶を未来に残していくことを目的として、ツール・ド・東北が続けられてきた。ツール・ド・東北は、順位を競うレースではなく、自分のペースで走るファンライドだ。自然の猛威と相反する美しい景色を感じ、そして人とのふれあいと地元のグルメを楽しめるサイクルイベントとして人気が高い。大会のキャッチコピーである
「応援してたら、応援されてた」
からは、まさに人と人のつながりの大切さを感じる。2024年の11回大会からは、宮城県仙台市に本社を置く新聞社・河北新報社と共催自治体が主体となり設立した「一般社団法人ツール・ド・東北」が運営の中心となるが、引き続き震災伝承と復興支援を継承していくという。
能登半島地震に関しては、以前から開催されてきた富山湾岸サイクリングの関連イベントとして、「がんばろう北陸! つながる富山と石川 復興応援ライド」が4月21日に実施された。震災の爪痕がまだ残っており、コースの設定に細心の注意を払いながらの開催となったが、それでも多くの人が集まり地域との絆が深まった素晴らしいイベントとなったそうだ。
2024年9月15日には、ツール・ド・のと400が開催される。ツール・ド・のと400は、1989(平成元)年にスタートした能登半島の振興を目的に実施されてきたサイクルイベントだ。元々は400kmを3日かけて走破していたが、2024年は震災の影響により150km 1日のみの開催となる。
能登半島に生まれたツール・ド・のと400が、震災で途絶えることなく実施されることに地域の強い思いを感じるし、これからも元気を与え続けていってほしいと思う。ちなみに、2024年開催分の申し込み締め切りは8月26日であり、まだ時間があるのでスケジュールの都合がつくならば参加してみてもいいだろう。
人が集まるという経済的な側面だけでなく、被災地域の人々と交流して励ます、地域を元気にする、もちろん元気をもらう手段として、能登半島地震の震災伝承と復興支援で自転車が果たす役割は大きい。