災害時の移動手段で、「自転車」が注目される実にもっともな理由【リレー連載】やるぜ、能登復興。(7)

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災害時の自転車の活用が注目され、道路事情の悪化時に効果的な移動手段として見直されている。イベント「ツール・ド・東北」や「ツール・ド・のと400」も復興支援と地域の絆を深める役割を果たしている。

今見直される自転車

東日本大震災における避難距離と所要時間の関係。国土交通省「自転車の活用推進に関して実施すべき施策」より(画像:国土交通省)
東日本大震災における避難距離と所要時間の関係。国土交通省「自転車の活用推進に関して実施すべき施策」より(画像:国土交通省)

 実は今、自転車が見直されている。国土交通省の有識者会議で、災害時における自転車の活用が検討されているのだ。

 例えば、東日本大震災では、特に平野部においては自転車(時速約6km)が徒歩(時速約3km)より

「遠方に避難できた」

という。単純に瞬間的な時速を比較すれば自動車が速いが、交通渋滞が発生するため時速約8kmになる。

「道を選ばない」

という点でも、自転車が優位なのは明らかだろう。もちろん、震災後は移動に自転車が活躍したというのはいうまでもない。仙台中心部における交通行動の調査では、震災前は25%だった自転車の利用が、震災後は

「45%」

に跳ね上がっていた。

 国土交通省の直轄国道事務所では、災害時における自転車の活用を念頭に、東日本大震災後に道路管理や緊急点検用に自転車を配備した。このほか、富山県警は、能登半島地震で被害を受けた地域の巡回などに活用するためクロスバイクを導入した。

 災害時あるいは災害後の移動手段として自転車を活用するなら、いわゆるママチャリではなく、悪路に強い自転車も用意しておくとよいかもしれない。

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