災害時の移動手段で、「自転車」が注目される実にもっともな理由【リレー連載】やるぜ、能登復興。(7)
災害時の自転車の活用が注目され、道路事情の悪化時に効果的な移動手段として見直されている。イベント「ツール・ド・東北」や「ツール・ド・のと400」も復興支援と地域の絆を深める役割を果たしている。
東日本大震災で活躍した黄色い自転車

東日本大震災では、話題となった支援物資がある。それは「黄色い自転車」だ。
台湾に本社がある世界的な自転車メーカーのジャイアントは、東日本大震災発生時に約1000台の黄色い自転車を岩手、宮城、福島の被災地に贈った。ジャイアント日本本社のメンバーが、
「自転車メーカーとして何かできないか」
「今はお金より使える物資にこそ価値があるのではないか」
と考えた結果、黄色い自転車に行き着いたという。
子どもから大人まで使用できるように小さめのマウンテンバイクとし、地震後は道路状況が悪いためパンクしにくいタイヤへの変更、徒歩で1時間かかる水くみなどへの使用を想定して荷台やライトの取り付け、さらには、信号も街灯もないので目立つように黄色に塗装したそうだ。黄色い自転車は特注品だったが、製造のため工場の生産ラインを止め、約1か月半というスピードで届けられた。
能登半島地震では、自転車ブランドARAYAを展開する新家工業(大阪市)が、輪島市ふれあい健康センターにマウンテンバイクを寄贈している。もちろん、避難所で生活している人々の移動に役立ててもらうためだ。
道路事情が悪化している震災後は、悪路に強く、場合によっては持ち運べるマウンテンバイクが使いやすい乗り物といえよう。