運転手さん、一番ウマい店に連れてって! 地元グルメを極める「ご当地タクシー」、その深い魅力と課題とは

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ご当地タクシーは、地元に精通したドライバーが観光資源やグルメを案内する高付加価値のサービス。シニア層やインバウンド旅行者向けに需要があり、特典付きスタンプラリーや試食サービスなどでさらに魅力を増す可能性がある。

「オプション」としても可能性

カステラタクシー(画像:日本ご当地タクシー協会)
カステラタクシー(画像:日本ご当地タクシー協会)

 その一方で、観光において“ご当地グルメ”は大きな存在となってきている。

「B1グランプリ」に代表されるB級グルメブームでご当地グルメが地域に大きな経済効果をもたらすことが認識され、地域観光においてグルメを重視する傾向が強まった。地域内の多くの飲食店で同調してメニューを開発する動きも活発化した。そのため、地域には

「ご当地グルメの店舗が多数存在する」

状況が生まれている。ガイドマップが配布されていたりするが、どの店舗がよいか決めかねることも多い。相談に乗ってくれる案内は欲しいところだ。

 とはいえ、ご当地タクシーは誰でも利用するようなサービスではなく、

・予算に敏感な人
・自分で探索したい人

には必要とされないサービスである。利用者はある程度限定され、プロモーションを絞る必要がある。

・予算にゆとりがあって時間や労力を節約したい人
・地元の人とのコミュニケーションを楽しみたい人

には価値のあるサービスだろう。現在、国内旅行の市場はシニア層が中心になってきているが、シニアのなかには利用したいと考える人が比較的いるかもしれない。

 インバウンドでは日本の地域文化に興味を持つ人が増えており、比較的地元の人とコミュニケーションしたいと考える人もいる。予算規模が大きく、さらに円安によって価格的な負担感が低いので、ご当地タクシーのニーズはあるだろう。ドライバーが外国語対応できるようになり、

「オプションツアー」

としてプロモーションできる機会があれば集客が期待できる。高付加価値の“量より質”の観光であり、国内の観光市場が成熟してきた今だからこそ深耕したいサービスである。

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