2030年「トラック輸送費」34%アップの衝撃! この数値は妥当か?不当か? 中小の運送会社は本当に持ちこたえられるのか
2024年の野村総研の予測によると、2030年のトラック運賃は2023年比で34%上昇。しかし、ドライバー不足と賃金上昇が背景であり、特に中小運送業者にとって厳しい局面になる。デジタルマッチングや新規制が業界に変革を促すが、中小企業は人材確保と定着が生き残りの鍵だ。
運賃上昇の背景にある人手不足

まずはじめに、運賃上昇が予想される“背景”を確認しておきたい。燃料費高騰などの要因が挙げられるものの、最大のものは、
「ドライバー不足による賃金上昇」
だ。野村総研の推計でも、2030年にはドライバーが25%減ると予測しているのだが、トラック業界における働き手の不足は深刻だ。
現在のドライバーの中核は40~50代のいわゆる氷河期世代である。この点は他の類似業種も似たような傾向ではあるものの、ドライバーが他業種と違うのは、
「20~30代が極端に少ない」
という点だ。若者のクルマ離れに加えて免許制度変更の影響から、若年層が極端に薄いのがトラック業界の特徴である。このため氷河期世代が60代に差し掛かる2030年代には、若手の人手不足は急速に悪化することになるのである。このような働き手の不足にどのように対処するかといえば、やはり賃上げ以外に方法はない。
現在、ドライバー職は製造や建設業等と比べ時間給が2割も安いが、このままでは、人手不足は解消しないのは自明だろう。よって相応の賃上げをすることが必要だ。
一方、賃上げは運賃上昇に直結することになる。ざっくりといってトラック輸送の
「原価の4割弱が人件費」
であり、賃上げは運賃上昇にダイレクトに結びつくのである。これが運賃上昇が予想される基本的な流れである。