2030年代開業 「有楽町線」「南北線」の延伸は本当に東京を変えられるのだろうか?
東京都が2030年代半ばに計画する有楽町線と南北線の延伸は、都市の構造を根本から変える。豊洲~住吉間では移動時間が55%減の9分に短縮、新駅も誕生。品川~白金高輪延伸は国際ターミナルとしての品川駅を強化し、東京の国際競争力を高める。
都市構造を揺るがす品川革新
そんな東京東部でも、地域によって人口動態に大きな差が生じている。
例えば、内陸部の旧工業地域では空洞化が、下町の地域では防災面の課題が深刻化している。鉄道ネットワークの充実は、再開発も促進し人口の偏在を修正する効果もあるだろう。
こうしたなか、江東区では、延伸を見据えた新駅予定地周辺のまちづくり方針を積極的に策定している。例えば、千石2丁目周辺では親水空間の創出や商業・業務機能の誘致を、東陽町駅周辺ではMICE(国際会議や展示会)施設や外国人向け医療施設の整備などを進める計画だ。鉄道延伸とまちづくりの連携により、東京東部は新たな活力を得る。
一方、南北線の品川延伸は、都心部と再開発が進む品川駅周辺とを直結し、東京の都市構造を根底から揺るがす変革をもたらすだろう。品川駅は、リニア中央新幹線の始発駅としての機能も加わり、国際的なターミナル駅としての役割がさらに高まる見込みだ。南北線の延伸は、こうした品川駅の変化に対応し、新たな人の流れを生み出すことが期待されている。
南北線延伸は、東京都市圏交通計画において、都市の国際競争力強化に資する施策のひとつに位置づけられている。羽田空港や品川駅へのアクセス改善により、東京の玄関口としての機能強化が見込まれるが、それだけではない。この延伸は、東京の
「国際競争力」
を飛躍的に高める起爆剤となるかもしれないのだ。