テスラの「EV墓場」が米国に出現! やっぱり原因は“直販システム”だったのか?

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テスラの販売低迷が顕在化し、“EV墓場”が世界中で広がっている。直販の利点は顧客との直接コミュニケーションとブランド強化だが、在庫管理の難しさも浮き彫りになっている。

在庫の増減がもたらす影響

セントルイスの地元メディア「フォックス2」5月1日付け記事の見出し。「チェスターフィールド・モールの外に何百台ものテスラ車が駐車している。なぜか?(Hundreds of Tesla vehicles parked outside Chesterfield Mall. Why?)」(画像:フォックス2)
セントルイスの地元メディア「フォックス2」5月1日付け記事の見出し。「チェスターフィールド・モールの外に何百台ものテスラ車が駐車している。なぜか?(Hundreds of Tesla vehicles parked outside Chesterfield Mall. Why?)」(画像:フォックス2)

 一般的な自動車の生産の流れは、まず顧客の注文に基づいて生産計画が立てられる。必要な部品が納入され、車両が組み立てられた後、ディーラーに納品される。 その後、各ディーラーで一定期間在庫された後、顧客に納品されるのが一般的である。

 テスラのように直販を行う場合、ディーラーでの一定期間の在庫というバッファ(余裕)がなくなるため、生産工場に在庫を抱える必要がある。 バックオーダー(注文残)が出るほど販売が好調であれば、生産後すぐに納品されるため、在庫は最小限に抑えられる。

 一方、需要の急減などで納品までの期間が長引き、生産工場で在庫が積み上がると、テスラの工場周辺で“EV墓場”のような現象が見られる事態にもなりかねない。このように、直販には販売が低迷した際に在庫管理が難しいというリスクがある。

 また、ディーラーに納品せずに顧客に直販することは、販売網の構築・維持コストの削減や価格競争力の維持という点で有利であるように見える。しかし、テスラは在庫管理に多額のコストを要する高いコスト構造を抱えていることも明らかにしている。

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