自動車産業は本当に変われるか? 4月「パワハラ防止法」全面施行、トヨタ社員自殺・損賠訴訟から考える

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2022年4月1日から、中小企業においても「パワハラ防止法」が義務化される。パワハラは社会問題として昨今認識されるようになっているが、その目は当然自動車業界にも向けられている。

防止措置、中小企業にも4月適用

ブラック企業のイメージ(画像:写真AC)
ブラック企業のイメージ(画像:写真AC)

 報道によると、トヨタ自動車は社長が原告と面会して謝罪し、解決金の支払いおよび関係者の処分、再発防止に努めて状況を文書と口頭で遺族に報告することなどを約束した。

 このような真摯(しんし)な姿勢は、パワハラで社員を死に追い込んでしまうことの異常性と罪深さを世の中に再認識させることにつながるはずだ。ジャスト・イン・タイムに代表されるトヨタ生産方式など、世界中の会社に影響を与えてきたトヨタ自動車が真剣にパワハラ防止に取り組めば、その効果は計り知れない。結果として、自社のブランド価値を守ることにもつながるだろう。

 同様の姿勢は、近年データ改ざんなどの問題で社会からの信用が揺らぎつつある自動車産業全体にも求めたい。『Best Japan Brands 2022』の2位には本田技研工業、3位に日産自動車と、トップ5に自動車メーカーが3社も入っている。また、経済産業省のホームページで自動車産業は「日本の基幹産業」だとも紹介されている。トヨタ自動車に限らず、自動車産業全体が強い影響力を持つ存在なのだ。

 2020年6月、労働施策総合推進法の改正を受けて、大企業のパワハラ防止措置が義務化された。職場で行われる、以下1~3の要素全てを満たす行為が該当する。

1.優越的な関係を背景とした言動
2.業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの
3.労働者の就業環境が害されるもの

 そして2022年4月からは、いよいよ中小企業にも適用されて日本中の会社がパワハラ防止に取り組むことになる。パワハラが起きても「またか」と認識されてしまう現状が、この規制につながっている。

 メディアで報じられるパワハラ事件など、氷山の一角にすぎない。日本の職場の実情は深刻だ。「どんな会社でもありうること」から、「あの会社ではパワハラが起きている」と特別視される状態へと変えていくために、トヨタ自動車や自動車産業にはお手本となる取り組みを期待しつつ、日本中の職場がパワハラ防止に真摯に取り組むことを強く要望したい。

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