自動車産業は本当に変われるか? 4月「パワハラ防止法」全面施行、トヨタ社員自殺・損賠訴訟から考える

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2022年4月1日から、中小企業においても「パワハラ防止法」が義務化される。パワハラは社会問題として昨今認識されるようになっているが、その目は当然自動車業界にも向けられている。

一般用語化した「ブラック企業」

名古屋地方裁判所(画像:写真AC)
名古屋地方裁判所(画像:写真AC)

 ブラック企業という言葉は、流行語大賞にノミネートされるほど社会に浸透した。厚生労働省はブラック企業について定義していないが、一般的な特徴として、極端な長時間労働やノルマを課したり、賃金不払いの残業やパワーハラスメント(パワハラ)が横行したり、コンプライアンス意識が低いことなどを要素として挙げている。

 ブラック企業という言葉は、今や一般用語化した感がある。最初は全国展開する家電量販店や飲食店、アパレルショップなどが典型例として挙げられていたが、世の中に浸透するにつれ悪質な会社を表す総称として用いられるようになった。

 職場で不快感や違和感を覚えても問題にしづらかった事柄に、ブラックという言葉で輪郭をつけやすくなったことの意義は大きい。今では

・ブラックバイト
・ブラックパート
・ブラック家庭

などの派生語も増えた。

 しかしながら、ブラックという言葉が一般用語化したことで、かえって特別視されづらくなった懸念もある。本来、ブラックという言葉は深刻に受け止められるべき重いものだ。中には極端な長時間労働やパワハラなどによって、自ら命を絶たなければならないほど追い込まれる人もいる。

「過労自殺」という言葉が世の中に知れ渡るきっかけとなった大手広告代理店の事件が世間の注目を集めても、同様の事件が後を絶たない。そのため、徐々に「あの会社はブラックだ」と特別視される状態から、

「どんな会社にもブラックな面はありうる」

という認識に変わってきている。

「仕方ないよね。うちの会社はブラックだから」などと、笑いながら話せるようなってしまうと、逆に、ブラックであることを当たり前に受け入れる土壌が形成されてしまう。そんな懸念は、ブラック企業が持つ要素のひとつであるパワハラについても当てはまる。