「降車ボタンを押したくない」 路線バスに寄せられた異次元クレーム! バス会社を悩ませる「お客さまの声」の中身とは
路線バスの「お客さまの声」は主にクレームが多い。公開が少ない理由は制度的、物理的、予算的制約による。公開は、会社のサービス改善意欲の表れである。
運転者同士のあいさつNG

ふたつめは、「乗務員同士のあいさつ」である。
これも正直にいうと、バス事業者に寄せられた声で、乗務員同士のあいさつが禁止されていることを知った。筆者が子どもの頃は、バスがすれ違うときに手を上げてあいさつしており、あこがれですらあった。とにかく乗務員同士のあいさつは日常的な光景だったのだ。
都営バスは、20年以上前からあいさつを禁止しているといい、国土交通省の「自動車運送事業者が事業用自動車の運転者に対して行う一般的な指導及び監督の実施マニュアル」にも、
「挨拶(挙手挨拶)などは脇見運転となり、乗客の安全を損ないかねないのでやめさせましょう」
とある。実際、2021年8月28日には、北九州市内を走行する路線バスが、対向車線にやってきたバスドライバーにあいさつをしようと気を取られた結果、前方を走行中のバイクに追突した事故が起こっている。
この事故の調査・分析を行った事業用自動車事故調査委員会が、覆面で運転者同士によるあいさつの実態調査を行った結果、612人(24事業者)の運転者のうち半数近くの292人(47.7%)があいさつしていたそうだ。
再発防止策に指導教育の徹底とあるが、あいさつ禁止の指導教育の不十分だけが原因なのだろうか。あいさつを止められない理由が、何かほかにあるように思えてならない。