「足立区 = ヤバい地域」なんて、まだ本気で思ってるの? 改善データを見れば一目瞭然、あの“人気バラエティー番組”の功罪と現実

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足立区はメディアでいいはやされるような「ヤバい地域」ではない。20年間で犯罪件数は78%減少し、特に侵入窃盗などは90%以上の大幅な減少を遂げている。この変化は、区政の強力な治安対策と、住民との協力によるものだ。しかし、メディアのステレオタイプ報道が未だに根強く残る現状もあり、区の実際の姿を正確に伝える必要がある。

一進一退の治安対策

放置自転車のイメージ(画像:写真AC)
放置自転車のイメージ(画像:写真AC)

 こうした官民一体の取り組みにより、2010(平成22)年の刑法犯認知件数は1万355件まで減少。その結果、23区のなかで犯罪発生率のワースト1位から脱却するなど、治安の改善が見られた。しかし、2011年には車上荒らしの増加で再びワーストに戻ってしまった。

 そこで、2012年には、防犯カメラ台数の増加防犯パトロールの強化を実施している。この後も2017年には、またワーストに逆戻りする事態も起こったが、それでも対策は進んだ。

 特に、2018年に初めて実施された「自転車の鍵かけ条例」による鍵かけの義務化は大きな効果を発揮した。足立区で自転車盗が多い理由として、自転車を身近に利用する人が多く、鍵かけによる防犯意識が希薄なことは長らく指摘されていた。ところが、この条例で義務化されたことにより、鍵かけを必要と考える人は増えた。結果、条例施行後の10か月間で自転車盗は33%減少したのである(『東京新聞』2018年12月27日付朝刊)。

 このように、一進一退の状況は続いているものの、犯罪多発する足立区は過去の話だ。足立区の治安は着実に改善傾向にあるといえる。

 それでも、まだまだ足立区が「ヤバい地域」だと思われているのは、一部地域で住民が治安への不安を持っているためだろう。足立区が2021年6月に実施した意識調査では、足立区の北の繁華街である竹の塚では「治安がよい」と評価した住民の割合は約32%にとどまっている。一方で「治安が悪い」との回答は

「約68%」

に上った。特に、20~40歳代の若年層や居住年数の短い住民で治安の評価が低い傾向が明らかになっている(「足立区体感治安の改善に向けた取組方針」)。

 同調査で住民から指摘された体感治安を下げる要因は、主に

・防犯
・道路や公園でごみが多い
・自転車の駐輪や運転マナーが悪い

の三つだ。もちろん、2006年頃の竹の塚に比べると、現在では治安は劇的に回復しているように見える。駅東口の団地裏、今はスシローがあるあたりは建物も変わり、アダルトな店もなくなり治安は劇的によくなっているように見える。それでもなお、住民には不安があるのが現状だ。

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