物流危機で注目「ダブル連結トラック」 これを“2台分の手積み&手卸し”と考えるドライバーは時代遅れだ! 有効活用を直視せよ

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1台で大型トラック2台相当の貨物を輸送できるダブル連結トラックは、ドライバー不足対策の切り札として大いに注目されている。だがその運用には課題もある。

「ダブル連結トラックを手積みする」というとんでもない誤解からの学び

最近は高速道路でも目にする機会が増えてきたダブル連結トラック。間近で見ると、その大きさに圧倒される(画像:坂田良平)
最近は高速道路でも目にする機会が増えてきたダブル連結トラック。間近で見ると、その大きさに圧倒される(画像:坂田良平)

 以前、筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)がダブル連結トラックをテーマにした記事を書いたたところ、ドライバーから「ダブル連結トラックなんてとんでもない」というコメントがあった。いわく、

「大型2台分の手積み・手卸しをさせられるドライバーの苦労を顧みない、とんでもないクルマだ」

というのだ。「ダブル連結トラックを手積み・手卸しする」という発想は愚かだ。この発想は、現在の物流クライシスを生み出した運送業界の悪習を踏襲するものだからだ。

・手積み/手卸し
・長時間の待機時間
・あるいは、トラック輸送における積載効率が約38%しかないという事実

こういった悪習を改善することなく、ただ単にダブル連結トラックを、「ひとりで2倍の荷物を運べるトラック」と考えるのであれば、宝の持ち腐れというものだ。

 NLJでは、積載効率を向上させるために、さまざまな荷主の、さまざまな貨物を組み合わせて共同輸送している。積載効率を向上させるために、NLJのもとでは多くの荷主や物流事業者が集い、日々知恵を出し合っている。

 そもそも、ダブル連結トラックは、例外はあれど、基本的に発地から着地までの輸送を一貫して担えない。ダブル連結トラックが走ることができるのは、

・あらかじめ許可された高速道路
・中継センターをつなぐ一般道

だけであり、発地から中継センター、あるいは中継センターから着地までの間は、別のトラックで運ぶ必要がある。

 荷物の積み卸しをともなう中継輸送を別のトラックが担うとなると、どうしても余計な輸送コストが発生する。だからこそ、真の生産性向上であり、真の物流クライシス対策を成すためには、共同配送による積載効率の向上など、知恵とアイデアを絞る必要があるのだ。どんなに便利であったとしても、道具はしょせん道具でしかない。それを有効に活用するもしないも、人次第だ。

 ダブル連結トラックの運行には制約もあるが、今後確実に普及していくだろう。その普及が、旧来の運送ビジネスにおける悪習を踏襲することなく、本質的な業務改善・ビジネス変革へとつながっていることを期待したい。

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