物流危機で注目「ダブル連結トラック」 これを“2台分の手積み&手卸し”と考えるドライバーは時代遅れだ! 有効活用を直視せよ
架装バリエーションの拡大でさらに可能性が広がるも、障壁はやはり規制

2024年5月、パシフィコ横浜で開催されたジャパントラックショーにおいて、ひときわ注目を集めていた展示車両があった。ダブル連結トラックの架装を手掛ける日本トレクス(愛知県豊川市)が展示した、冷凍ダブル連結トラックである。
これは、冷凍機能を持つスワップボディの積載を可能としたトラクタと、冷凍トレーラーを組み合わせたダブル連結トラックである。冷凍冷蔵のダブル連結トラック運行事例がまだ少ない上、トラクタがスワップボディという点が、実に意欲的だ。
スワップボディは、アウトリガーによってコンテナ部分を自立させることで、トラックのボディと分離・独立した運用を可能とする。トレーラーと違い、けん引免許が不要であることもあり、大手を中心に多くの運送会社で導入が進んでいる。
「けん引免許不要」のメリットについては、ダブル連結トラックの場合、いずれにせよけん引免許が必要なので関係はないのだが。ダブル連結トラックとスワップボディの組み合わせにおいて、メリットがあるのは、
「分離・独立した運用を可能とする」
点である。ダブル連結トラックは、大型トラック2台相当の貨物輸送を可能とするが、積み卸しに時間を要しては、ダブル連結トラックが持つアドバンテージに水を差してしまう。その点、スワップボディは5分程度で車両との切り離しができる上、荷役をトラック運行と分離できる(トラックからスワップボディ部分を切り離し、トラックを待機させることなく、貨物の積み卸しができる)。
こういったメリットから、とても意欲的かつ高い物流改善効果が見込める車両(架装)なのだが、
「実はこのスワップボディを組み合わせた冷凍ダブル連結トラックは、まだ日本で走ることができません」(日本トレクス 経営企画部 経営企画課 係長 南義明氏)
のだそうだ。理由は明確だ。
「規制」
である。
「ダブル連結トラックには、『車両はトラクタ(けん引する側の車両)、トレーラー(けん引される側の車両)とも、バン型であること』という規制があります。スワップボディはバン型ではないため、このクルマは走れません」(南氏)
物流クライシス対策に対するアイデアはあっても、規制があって実用化できない。なんとももったいない話である。