「ゆりかもめ」延伸計画はいずこへ? 湾岸エリアは人口増加中、どうなる今後の交通事情

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本格運行が遅れている東京BRT。そんな状況で期待されるのが「ゆりかもめ」の延伸だ。いったいなぜなのか。

中央区における湾岸エリアの立ち位置

地下鉄新線の路線・駅。令和2年度地下鉄新線検討調査報告書概要版より(画像:中央区)
地下鉄新線の路線・駅。令和2年度地下鉄新線検討調査報告書概要版より(画像:中央区)

 とはいえ、湾岸エリアの人口は増加の一途だ。ひとりの人間が反対したところで効果があるのかと思わず首をかしげるが、中央区では実際にそうなっている。

 吉田副区長は、23区では異例の5期にわたって役職にある人物。通例は2期程度で首長の交代と共に退任するのだが、2019年に現職の山本泰人区長が当選した際にも、続投を求められている。

 その背景には、再開発やタワーマンション建設など区内の開発を成功させ、中央区の人口のV字回復に成功したことが上げられる。そんな実力者がゆりかもめの延伸を拒否しているのだから、あと10年は議題になりそうもない。

 また人口が増えたとはいえ、湾岸エリアは中央区の政治地図でいえば「新参者」が住むエリアだ。旧日本橋区住民を頂点とするヒエラルキーが存在する中央区で、その声は驚くほど小さい。

 不完全な東京BRTしかない現状で、吉田副区長は湾岸エリアの交通網の整備をどう考えているのだろうか。彼が目標としているのは、湾岸エリアから東京駅方面を目指す

「都心部・臨海地域地下鉄構想」

の実現だ。

 この計画、東京都が2021年3月の「未来の東京戦略」に「必要性」を明記。7月には国の交通政策審議会が「検討の深度化」を求めた程度だが、中央区では、早くも東京駅に延伸予定の「つくばエクスプレス」などとの接続までも構想している。

 銀座で2012年11月に開催された区民による地下鉄構想推進を目指す集会で、吉田副区長は

「都が築地の跡地開発の関連でも必要性を指摘し、新線の順位付けが7番目から3番目に上がった」

と、建設構想が進んでいる旨を発言している。

 もし計画が実現しても、完成は20~30年後だろう。ともあれ、ゆりかもめの延伸が不可能と考えられる以上、直近の課題が東京BRTの専用レーン整備なのは言うまでもない。

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