自動車排除の流れは加速する? コロナ禍で変化する道路行政、これからは「歩行者の時代」到来か
公開空地がもたらす集客効果
公開空地を設ければ容積率をアップできるというメリットが付与されたため、デベロッパーは公開空地を積極的に創出するようになった。
東京都港区に多くの高層ビルを構える森ビルは緑化に熱心なデベロッパーとして知られるが、森ビルは公開空地を設けることにも積極的だ。森ビルが手がける虎ノ門ヒルズや六本木ヒルズなどには、公開空地があちこちに設けられている。
公開空地を多く設ければ、買い物客などが訪れるようになる。多くの人が足を運ぶようになれば、にぎわいが増す。それは、不動産としての資産価値が高まることを意味する。森ビルが公開空地を積極的に設けているのは、公開空地が生み出す集客力にある。
最近、キッチンカーや移動販売車が目立つようになったのも、公開空地を駐停車スペースとして利用していることが大きい。
現在は、キッチンカー・移動販売車の駐車スペースとしての利用だけではなく、ランチタイムなどの時間帯にはベンチやテーブルなどをセットし、近隣のオフィスワーカーが集まる光景も日常的になった。
移動販売車増加の弊害
公開空地に容積率ボーナスを付与する法改正はコロナ以前のものだが、飲食店内での食事が“密”とされて忌避される風潮が高まったコロナ禍で、キッチンカーや移動販売車の需要は急拡大。改めて、公開空地の役割が注目されている。
行政も公開空地の有効活用を後押しする取り組みを始めている。例えば、キッチンカーや移動販売車を購入するための補助金を出すといった飲食店支援を打ち出す市町村もある。
公開空地によって生み出されたキッチンカーや移動販売車が急拡大する潮流に対して、行政は別の角度からも注目するようになっている。
キッチンカーや移動販売車によるビジネスは、店舗を構えるよりも初期費用などが安くなるので、手軽に参入できる。そのため、行政はスタートアップ支援・地域活性化の取り組みとしてキッチンカー・移動販売車によるビジネスを奨励した。
しかし、キッチンカー・移動販売車の増加で問題も発生している。以前に比べれば公開空地は増えているが、それにも限りがある。商売に適した場所は人気が高く、場所取り合戦が激化する。そのため、行政は新たにオープンスペースを創出する政策を検討している。