北陸新幹線「大阪延伸」 代替“米原ルート”は事業費7割オトクも、実現困難! いったいなぜなのか

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北陸新幹線の大阪延伸のめどが立たないなか、石川県や富山県では米原ルートの再検討を求める声が出始めている。しかし、ルートが変更されたとしても多くの問題が残っている。

南加賀6市町が米原ルート再考を決議

米原駅で出発を待つ東海道新幹線の列車(画像:高田泰)
米原駅で出発を待つ東海道新幹線の列車(画像:高田泰)

 北陸新幹線の大阪延伸にめどが立たないなか、北陸の石川、富山両県で米原ルートの再考を求める声が相次ぎ始めた。しかし、米原ルートに変更しても多くの課題が山積している。

「一日も早く目標を達成するために、米原ルートの再考を強く求めたい」

5月22日に石川県加賀市で開かれた南加賀6市町による加賀地域連携推進会議。小松商工会議所の西正次会頭が北陸新幹線の大阪延伸を現在の小浜・京都ルートから米原ルートへ切り替えるよう求める決議を提案した。

 会議には加賀、小松、白山、野々市、能美の5市と川北町から経済団体、行政関係者ら約130人が集まった。決議は全会一致で採択され、南加賀地方の総意として米原ルート再考を求める方向が打ち出された。

 加賀市の宮元陸市長や小松市の宮橋勝栄市長はこれまで、北陸新幹線の早期大阪延伸に向け、米原ルートの再考を訴えてきたが、それが南加賀6市町全体に広がった格好だ。

 同じ22日、東京都で関係府県選出の国会議員、知事らが出席して小浜・京都ルートの建設促進大会が開かれている。大阪延伸の行方は沿線の意見がふたつにわかれ、混とんとしてきた。

京都で高まる工事懸念

北陸新幹線の列車が並ぶ敦賀駅の新幹線ホーム(画像:高田泰)
北陸新幹線の列車が並ぶ敦賀駅の新幹線ホーム(画像:高田泰)

 北陸新幹線の大阪延伸は福井県敦賀市の敦賀駅から福井県小浜市へ西進したあと、京都府を南下して京都市の京都駅へ接続し、大阪市の新大阪駅を目指す小浜・京都ルートを進む計画。京都府内はトンネル区間が路線の

「約8割」

を占め、特に京都駅付近は深さ40m以上の大深度での工事となる。

 だが、トンネル工事による

・地下水への影響
・残土処理などに対する不安

が京都府内で高まり、着工のめどが立たない。「敦賀止まり」が長引けば、緊密な関係を続けてきた関西との結びつきが弱まりかねない。このため、南加賀地方以外でも、敦賀市から滋賀県を南下し、米原市で東海道新幹線に接続する米原ルートへの変更を求める声が上がっている。

 4月末に石川県金沢市で開かれた金沢経済同友会の総会では、福光松太郎代表幹事が米原ルートの再検討を訴えた。理由として挙げたのは、京都府内での強い反対や建設費の高騰など。金沢経済同友会事務局は

「一日も早い大阪延伸の実現を願い、代表幹事が声を上げた」

と発言の背景を説明した。

 小松市議会は2023年12月、米原ルートへの再考を求める決議をした。石川、富山の両県議会、京都府議会では、メディアのインタビューで米原ルートへの見直しを主張する議員が出ている。

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