LCCが「日本」でイマイチ普及しない4つの決定的要因

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日本を含む東アジアでは、LCCの普及率が世界標準を下回り続けている。大都市が多く、国土も広く、航空インフラもある程度整っているにもかかわらず、なぜ伸び悩んでいるのか。

東アジアの普及率が低い四つの理由

マレーシア・エアアジアのウェブサイト(画像:エアアジア)
マレーシア・エアアジアのウェブサイト(画像:エアアジア)

 LCCが韓国以外の東アジア諸国、特に経済規模も大きいはずの中華圏(中国本土、香港、台湾)や日本で存在感を示すのが難しいのはなぜか。以下、その理由を四つ説明する。

●国内に発達した高速鉄道網がある
 第一の理由は、国内の高速鉄道網が発達しており、鉄道は大都市間の主要な競争相手であるということである。特に、中国の高速鉄道網は2023年までに約43万7000kmに達し、世界最大規模となるが、日本、韓国、台湾も主要都市のほとんどを鉄道網で結んでいる。500km以内、所要時間2~3時間以内の移動では、低価格と高頻度のため、LCCの有力な代替手段となっている。

 実際、台湾は2001年の高速鉄道開業以来、澎湖(ほうこ)諸島などの離島路線を除き、国内線はほぼ壊滅状態となっている。日本では、最も収益性の高い首都圏~関西圏の需要の7~8割を新幹線が占めている。

 インドネシア以外に高速鉄道網が存在しない東南アジア諸国や、アセラエクスプレス以外に高速鉄道網が存在しない米国とは、全く異なる問題である。しかし、日本や中国の場合、国土が広く、東京から福岡・札幌、北京から上海・広州など、1000km以上離れた大都市間にも需要がある。にもかかわらず、LCCのシェアが小さいのはなぜか。その理由は残りの3点にあると思われる。

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