LCCが「日本」でイマイチ普及しない4つの決定的要因
東アジア諸国の普及状況

はじめに、東アジア諸国におけるLCCの普及状況について説明する。前提として使用したデータはコロナ禍以前のもの(2018年集計)であるが、東アジア諸国ではシェアが劇的に動いていないため、現在も状況は変わらないと思われる。
一般に、2018年時点の世界平均におけるLCCの占有率は、国内線で33%、国際線で13%であり、短距離路線でLCCが市民権を得ていることがわかる。特に、エアアジア、ライオンエア、セブパシフィック航空、ベトジェットなどの大手LCCが盛んな東南アジアの主要国では、国内外ともに高いシェアを誇っている。
・インドネシア:国内線70%、国際線40%
・マレーシア:国内線57%、国際線51%
・タイ:国内線72%、国際線32%
・フィリピン:国内線64%、国際線31%
・ベトナム:国内線56%、国際線33%
・シンガポール:国際線31%
また欧州の場合、域内路線に占めるLCCの割合は33%(2018年)、米国内路線は30%(2020年)とほぼ平均的である。
一方、東アジアの主要国・地域は次のとおりである。
・中国:国内線10%、国際線14%
・日本:国内線17%、国際線26%
・韓国:国内線50%、国際線35%
・香港:国際線11%
・台湾:国際線18%
韓国と台湾を除き、LCCは世界平均を下回っており、特に中国と日本の国内線における独占率の低さが目立つ。香港の国際線も平均を下回っており、同じような立場で国際競争力を争うライバルであるシンガポールの半分以下であることは注目に値する。
中国、日本、台湾における国際線シェアは世界平均を上回っているが、東南アジア諸国や韓国からの乗り入れの影響が大きく、自国に本社を置く就航路線は非常に限られている。このことは、東アジアでは韓国を除き、
「LCCが自国産業として浸透・発展していない」
ことを示唆している。