クルマは本当に日本を幸せにしたのか? 戦後つくられた「クルマ強制社会」、持ってなければ生活ニーズも満たせない深刻現実とは

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飲酒運転・ひき逃げ・店舗突入が常態化した背景には、1960年代の国策がある。ノーベル経済学賞に最も近い日本人といわれた経済学者の宇沢弘文氏は著書のなかで、無秩序な自動車依存とそのコストの問題を指摘している。

クルマと道路の使い方の再構築

千代田区内の様子。著者撮影(画像:上岡直見)
千代田区内の様子。著者撮影(画像:上岡直見)

 一方で物流は貨物車に依存せざるをえない。現代では農家の人でさえスーパーで買い物して、宅配便で物を取り寄せて暮らす時代である。貨物車がなかったら現代人は1日も生活できない。クルマのユーザーが

「貨物車を迷惑視する言説」

が多く見られるが、自分自身も物流に依存して生活し、また道路空間を占有しながら、貨物車を迷惑視するのは奇妙である。

 路上駐車を摘発された軽バンの宅配ドライバーが、激高して警察官につかみかかる動画を見たことがある。都市内の物流は路上駐車をともなわなければ成立しないのに、物流のことを考えていない

「都市や道路のあり方、使い方」

を変えずに末端の宅配ドライバーの負担に押しつけるのは不合理だ。

 また写真は東京都千代田区で、ほとんど無料駐車場と化した路側をクルマが占有し、自転車が避けて通行している。2024年5月に、自転車で無謀走行する「ひょっこり男」が逮捕されメディアで大きく取り上げられたが、

・歩行者が横断歩道にいても止まらないクルマ
・道路脇の駐車場から無頓着に歩道に飛び出してくるクルマ

の「ひょっこりドライバー」は日常茶飯事として問題視されない。いつまでも無秩序なクルマ依存を続けるのではなく、クルマと道路の使い方の再構築が必要だ。それには「社会的費用」の考慮が重要になるだろう。

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