旅客・貨物需要で絶好調の「フェリー」 しかし航路数は20年で「約3割」も廃止されていた!【短期連載】海洋国家にっぽんのフェリー進化論(1)

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現在、海外からのインバウンド旅客需要や「2024年問題」により貨物需要が期待されている。一方で、少子高齢化による人手不足、定期旅客数の減少など逆風も吹いている。

航路の維持と船員不足

阪九フェリー(画像:SHKライングループ)
阪九フェリー(画像:SHKライングループ)

 フェリーといえども、他の輸送モードと同じように少子高齢化の影響を受けているのはいうまでもない。時系列でフェリーの航路数の変化をみると(日本旅客船協会のデータより)、

・2000年:209航路
・2010年:173航路
・2020年:152航路

2000(平成12)年から2020年の20年間で、

「約1/4も廃止された」

ことがわかる。特に地方に行くほど、航路の維持が問題となっている。また、船員不足も課題だ。国土交通省の資料では、内航海運業界全体として、海技教育機構や水産高校から年間約400名の人員を確保しているものの、

「年間約300名不足している」

という。また、給与面で新卒者に人気があっても離職率が高い。その要因として、

・仕事の厳しさ
・連続勤務+長期休暇という特殊な勤務形態(航路による)
・電波が届かない航路ではスマホが使用できず若者の生活様式にそぐわない

などが挙げられており、海の仕事ならではの職業意識や忍耐力が要求されている。慣れれば問題ないのだろうが、そこに行き着くためには、

・海の仕事が好きなこと
・身体的かつ精神的な適応力

が求められるといってよいだろう。

 今回は、総論としてフェリーを取り巻く環境をまとめてみたが、次回は中長距離フェリーを中心に航路や役割についてより具体的にみていきたい。

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