自動車メーカーに潜む「尖閣リスク」 南シナ海では中国海警局の暴力が横行、安全保障問題だけとして捉えてはいけないワケ

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日本企業の中国における日常的なビジネスは、中長期的に継続するだろう。しかし、中国に進出している企業、特に大手自動車メーカーが注意すべき安全保障上のリスクがある。それが「尖閣リスク」である。

緊張高まる南シナ海

尖閣諸島の位置(画像:OpenStreetMap)
尖閣諸島の位置(画像:OpenStreetMap)

 5月10日、海上保安庁の巡視船が沖縄県石垣市・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で中国海警局の船4隻が航行しているのを発見した。尖閣諸島周辺で中国海警局の巡視船が確認されるのは

「141日連続」

となり、海上保安庁は日本の領海に近づかないよう警告したが、巡視船の1隻は機関砲のようなものを搭載したという。

 5月1日にも機関砲のようなものを搭載した巡視船が目撃されている。尖閣諸島周辺で日中のにらみ合いの神経戦が毎日のように続いているのだ。

 だが、尖閣諸島とそれほど距離が遠くない南シナ海では、もっと強い緊張が続いている。4月末、フィリピン・ルソン島沖のスカボロー礁近海を航行していた複数のフィリピン船が中国海警局の巡視船から強力な放水銃を浴びせられ、船舶の金属部分や装備が剥がれたり曲がったりするなど大きな損傷を負った。3月には、中国海警局の巡視船が南シナ海にあるフィリピン軍の拠点に補給物資を運搬しているフィリピン船の航行を妨害し、故意に衝突した後に放水銃を発射するなどし、乗組員4人が負傷する事件が起こっている。

 もっと深刻なケースでは、2019年6月、フィリピン漁船が中国漁船に衝突されて沈没し、海に投げ出されたフィリピン人の乗組員22人が近くを航行していたベトナム船に救助される出来事があった。

 フィリピン政府はその後、外交ルートを通じて中国側に厳重に抗議した・フィリピンと同じく南シナ海で中国と領有権を争うベトナムも、自国の漁船が中国船から故意に衝突を受けて沈没したり、魚介類や機材などを強奪されたりする事件を経験している。

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