民営化の公約「明るく親切な窓口」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(2)
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株式会社であるJR各社は、利益を上げ、株主価値を高めるという「使命」を果たし続けることを株主から求められている。国鉄民営化前に約束した公約「明るく、親切な窓口に変身します。」は守られたのか。
JRの使命と役割
このような状況を見れば、鉄道ネットワークおよび現状のサービス水準の維持を
「JR任せ」
にするべきではない。JR各社が株主からの要求を気にすることなく、安心して鉄道サービスの提供に専念できるような制度設計を国の交通政策として真剣に検討する時期に来ていることは明らかである。
現状を放置すれば、JR各社の合理化と利便性低下がますます進む懸念がある。極端に利用の少ない路線の危機も高まるばかりである。深刻な状況に陥る前に、早めに対策に着手する必要がある。
そして、JRには、鉄道のパーパス(存在意義)は移動を通じて社会に価値を提供することであることを認識し、常に問題点を点検する姿勢が望まれる。ステークホルダー(利害関係者)との対話を通じて、よりよい鉄道を目指す不断の努力が要る。
ステークホルダーには株主だけではなく、消費者(乗客)や従業員なども含まれることはいうまでもない。IT化が進み、車両の快適性が向上した令和の時代にあっても、結局
「鉄道は人なり」
である。
係員は鉄道会社の代表である。係員の心のこもった接客で、乗客は心を動かされてファンとなり、ロイヤルカスタマー(企業・製品に愛着を持ち継続してくれている顧客)となることもある。逆に、粗末な接客やサービス低下を繰り返せば、客離れが起きる。長い距離の移動は航空便や高速バスなどへ、日常利用もマイカーへ流出するだろう。このことを常に忘れないようにしたい。