民営化の公約「明るく親切な窓口」は結局、守られたのか?【短期連載】国鉄解体 自民党「1986年意見広告」を問う(2)

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株式会社であるJR各社は、利益を上げ、株主価値を高めるという「使命」を果たし続けることを株主から求められている。国鉄民営化前に約束した公約「明るく、親切な窓口に変身します。」は守られたのか。

上場企業の株主価値

JRグループは航空会社のホスピタリティから学ぶべき点は多い(画像:大塚良治)
JRグループは航空会社のホスピタリティから学ぶべき点は多い(画像:大塚良治)

 JR各社は株式会社である以上、利益を増やし、株主価値を向上させる「使命」を果たし続けることを株主から求められる。特に上場4社(東日本・東海・西日本・九州)については、資本市場がこの使命を果たしていないと判断したとき、株式の売却を通じて株価を下落させる。

 株価の下落は、時価総額の低下に直結する。時価総額が小さくなると、“モノいう株主”の株式買い集めや還元要求などの標的になりやすくなる。

 2023年3月期の上場4社の外国人株主の割合は、

・東日本:27.67%
・東海:23.39%
・西日本:26.72%
・九州:19.40%

で、一定の割合を占める勢力である。JR各社の経営者は、株主価値向上を求める株主の意向を無視することはできない。

 以上を端的にまとめると、上場4社の経営者は、

・鉄道ネットワークサービス水準の維持
・資本市場との対話

の両立という難しいかじ取りを余儀なくされているということになる。また、未上場3社(北海道・四国・貨物)も国による経営の規律を受け、安閑としていられる状況にはない。もし上場すれば上場4社と同様に、資本市場との対話に、経営者が頭を悩ませる帰結が待ち受ける。

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