深刻なバスドライバー不足! 「お客様は神様」精神を捨てて、欧米の合理的価値観に切り替えるのが本当に正しいのか?【連載】ホンネだらけの公共交通論(11)

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深刻なバス運転手不足。日本の「おもてなし」精神は誇るべきものだが、それがバス運転手に与えているストレスについても考えなければならない。

「おもてなし」精神とドライバーのストレス

路線バス(画像:写真AC)
路線バス(画像:写真AC)

 路線バスの「2024年問題」が顕在化し、バスドライバーの離職や成り手不足が問題になっている。これまでも筆者(西山敏樹、都市工学者)は、カスタマーハラスメントの横行、モータリゼーションによる給料の低下などが一因であることを述べてきた。今回はそれに加えて、日本特有の「おもてなし」精神がドライバーのストレスになっていることを考えたい。

 近年、日本のドライバーは、

・過剰なマイクアナウンス
・各種ワンマン機器の操作
・ドアの開閉

などを行っている。当然、安全運転にはかなり気を遣っている。乗客が席に着くまで発車しないし、バス停に着く前に立っている乗客がいれば注意する。

 先日、都内のバスに乗ったが、乗客が席に戻らなければ発車しないと、ドライバーはその場でバスを止めた。筆者は

「そこまでするか」

と思ったが、これは事業者なりのルールでもあるとともに、乗客からのハラスメントや苦情を防ぐための“自己防衛”であるとも感じた。ただ、これはいささか行き過ぎた傾向であり、今後を非常に懸念している。

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