電車トラブルが起きると、ネット民がいつも「駅員の味方」をするワケ
駅員は決して「上の存在」ではない。安易な「従業員憑依」の姿勢ではなく、駅員をパートナーとして尊重し、協力していくことが何よりも大切だ。
鉄道会社の支援必要性
こうした「従業員憑依」の背景には、先に述べた3つの要素が複雑に絡み合っている。駅員の業務上の立場、制服が与える印象、そして二項対立的な思考。これらが重なることで、駅員を「格上の存在」だと勘違いし、過剰に同調する風潮が生まれている。
しかし、こうした「従業員憑依」”は、本質的な問題の解決を妨げるだけでなく、最前線で働く駅員を不当におとしめることになる。
鉄道ユーザーひとりひとりが、駅員を「仲介者」として意識することは重要だ。彼らは乗客と経営陣の間に挟まれながらも、安全で快適な鉄道サービスを提供するために懸命に働いている。ときには理不尽な要求や暴力に直面することもある。そんな第一線で働く人たちの苦労を想像し、理解する必要がある。
同時に、鉄道会社は「仲介者」の重要性を再認識し、彼らが働きやすい環境を整える必要がある。現場の声に真摯に耳を傾け、適切な支援と権限委譲を行う必要がある。鉄道サービスの質は、最前線の担い手が能力を発揮してこそ向上する。
駅員は決して「格上の存在」ではない。「従業員憑依」のような安易な態度ではなく、駅員をパートナーとして尊重し、協力していくことが何より重要なのである。