電車トラブルが起きると、ネット民がいつも「駅員の味方」をするワケ
駅員は決して「上の存在」ではない。安易な「従業員憑依」の姿勢ではなく、駅員をパートナーとして尊重し、協力していくことが何よりも大切だ。
駅員の地位と実際
鉄道ユーザーの多くは、無意識のうちに駅員を「格上の存在」として見ているのかもしれない。
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この点について、ジャーナリストの佐々木俊尚氏は自身のnoteで公開した記事「「弱者は誰なのか?」論争で考える「鉄道駅員は権力者なのか?」問題」で興味深い指摘をしている。
最近のマクドナルドのシステム障害の際、マスメディアは客の目線で「不便だった」と報じたが、SNSでは店員の対応を評価する声が多く見られた。また、JR無人駅での車いす利用者とのトラブルでも、SNSでは「駅員がかわいそう」という反応が少なくなかった。
佐々木氏はこれを
・お店側の目線
・運用側の目線
の広がりだと捉えている。鉄道会社は巨大企業だが、現場で利用者と直接向き合うのは権力を持たない駅員だ。事故などのトラブル時に矢面に立たされるのも、経営者ではなく現場の駅員である。ここで参考になるのが
「権力勾配」
という概念だ。これは、社会のなかで権力を持つ側と持たない側の力関係を表す言葉だ。鉄道会社と利用者の関係を見ると、一見すると企業側が権力を握っているように見える。しかし実際に利用者と接するのは、権力を持たない末端の駅員なのだ。
つまり、「権力勾配」の観点からすると、駅員は必ずしも「格上の存在」とはいえない。むしろ組織の末端で、利用者と経営者の板挟みになりながら奮闘している「仲介者」ともいえるだろう。にもかかわらず、制服を着て、乗客の行動をチェックし、ときに指示を下す姿は、どこか威圧的に映る。