ガソリン車依存が招く「地方消滅」 給油所はもはやピークの半分以下、EVアンチはポジショントークをしている場合ではない!
地域社会の持続可能性への脅威

それでは、ガソリンスタンドの閉鎖は、具体的に地域にどのような影響を与えるのか。
それを詳細に分析したのが谷口祐太氏の論文「山村地域におけるモビリティエネルギーの孤立実態調査」(『和歌山大学Kii-Plusジャーナル』1号)である。この論文では、和歌山県北部の紀美野町において、ガソリンスタンド減少の実態とその要因について調査研究を行っている。
これによれば、紀美野町内では過去に11か所のガソリンスタンドが営業していたが、調査時点では6か所に減少している。減少要因としては、全国的な傾向と同様に「ガソリン需要の減少」が挙げられるが、同町特有の要因として
「商業の衰弱を発端とした住民の生活圏の変化」
も指摘されている。また、現在営業中のガソリンスタンドの営業時間を調べたところ、日曜日に営業している店舗が1か所も存在しないことが明らかになった。論文では
「一時的ではあるがSS過疎地と呼ばれる状況に陥っている」
と分析している。さらに、将来の移動手段として期待される電気自動車(EV)の普及可能性についても言及。現状、同町内にはEVの急速充電設備が整備されておらず
「現状のままではEVを利用した日常生活はガソリン車よりも困難」
との見方を示している。つまり、この調査研究は、地域の人々の足を守るためには、単にガソリンスタンドの数だけでなく、
・アクセシビリティ
・営業時間
・EV等の新技術への対応
など、多角的な視点から地域の移動エネルギー供給のあり方を考えていく必要性を提起しているといえる。
ここで谷口氏が示唆するのは、ガソリンスタンドの消失が、単なる利便性の低下だけではなく
「地域社会の持続可能性そのものを脅かしかねない」
深刻な問題だということだ。地域から生活に不可欠なインフラが失われることで、住民の日常生活は著しく困難になる。長期的には、地域からの人口流出を招き、地域社会の衰退に拍車をかける恐れもある。
過疎地域の将来を見据えるとき、ガソリンスタンドをはじめとする地域のモビリティインフラをどう維持・再構築していくかは、喫緊の課題といえるだろう。