「タクシーが全然足りない」という声は、そもそも本当なのか? 現場で上がる疑問の声、ライドシェア礼賛社会を再考する
コロナ禍以来、特別区と武三地域のドライバーの数はかなり増えたはずだ。しかし、世間やメディアの認識は「タクシー不足」である。これは本当なのだろうか。
政府の選択と業界の未来
小泉政権時代(2001年4月~2006年9月)の数多くの規制緩和政策のひとつに、タクシーの規制緩和があった。これによってタクシー会社が増え、タクシーは飽和状態になった。
「世間の人たちがいう『タクシーに困らない』ってことは、空車のタクシーがそこらじゅうを走り回って、タクシー乗り場は常にタクシーで溢れかえっている、ということなんだよね」
とあるドライバーは話す。時間が経つにつれ、利用客にはこのような光景、感覚が当たり前になってしまったのかもしれない。
あちら立てればこちらが立たぬ――。ようは、「市民のストレスのない生活」を維持するか、「ドライバーの生活」を維持するかである。
政府は前者を選んだ。またしてもタクシー業界は時代の波に飲み込まれようとしている。ライドシェア解禁を“嘆き”と取るべきか、“奮起”と取るべきかは、各ドライバーの胸の内にある。