「タクシーが全然足りない」という声は、そもそも本当なのか? 現場で上がる疑問の声、ライドシェア礼賛社会を再考する
コロナ禍以来、特別区と武三地域のドライバーの数はかなり増えたはずだ。しかし、世間やメディアの認識は「タクシー不足」である。これは本当なのだろうか。
ドライバーの営業スタイル激変

ドライバーの数が増えているにもかかわらず、タクシーが不足していると誤解されている要因のひとつに、「迎車」の存在がある。ようは
「配車アプリ」
を使ったサービスである。こうしたアプリが認知され、利用されるようになったことで、ドライバーの営業スタイルは激変した。利用者のなかには、タクシーは探すものではなく
「(アプリで)呼ぶもの」
と主張する人さえいる。
ドライバーにとって、配車アプリを通じた営業はメリットがある。特別区・武三地区のタクシーの初乗り運賃は500円だが、配車アプリで拾った場合は400円上乗せされた900円になる。ほぼ倍である。
どこかで待っていれば利用者が呼んでくれる。かつてのように、血眼になって彼らを探し回る必要がないので、事故リスクも、ストレスも軽減される。配車アプリに頼るのも無理はない。
ドライバーのなかには、
・流し(ドライバーが特定のエリアや道路を巡回し、利用者を見つけること)
・付け待ち(ドライバーが特定の場所〈タクシー乗り場や交差点など〉に停車して、待機していること)
をすることなく、配車アプリだけで業務を行うドライバーもいる。公道を走らず、アプリが鳴るまで公園前や路地で待つドライバーも相当いる。そのため、
「街でタクシーを見かけなくなった = タクシー不足」
とは一概にはいえないのだ。